令和7年12月19日(同月18日付けの職員措置請求書が郵送で到達した日)
大阪府教育委員会が近藤一馬 師の退職を承認したことが、「大阪府の信用を著しく損なうおそれがある」と監査委員から指摘されました。
第1 監査の請求1 職員措置請求書の提出令和7年12月19日(同月18日付けの職員措置請求書が郵送で到達した日)
2 請求人***********
** **3 請求の要旨府立高等学校の教諭であった者(以下「元教諭」という。)が、大阪府教育委員会(以下「府教委」という。)に採用される前に大阪市立の高等学校(以下「本件高校」という。)に勤務していた当時から、本件高校の生徒であった女性(以下「元生徒」という。)に対するわいせつ行為を行っていたことを、平成31年(令和元年)に、請求人が府教委に通報したにもかかわらず、府教委は調査義務を怠り、令和7年に再度通報すると、ようやく府教委は調査し、元教諭は事実関係を認めた。
ところが、府教委は、懲戒免職相当の非違行為であるにもかかわらず、大阪市教育委員会(以下「市教委」という。)職員時代の事案である等の不合理な理由で懲戒免職処分を回避し、諭旨免職として処理した。
本件請求は、本来であれば懲戒免職処分となり不支給となるはずであった退職手当が不当に支出され、平成31年(令和元年)の通報から退職日までに支払われた給与も不当な支出であるとして、元教諭に対する退職手当の支給決定の取消し、支出の差止め又は返還、給与の支出に係る責任者に対する損害賠償請求を求めるもの。(別紙1参照)
第2 請求の受理本件監査請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項に定める要件を具備しているものと認め、受理することとした。
第3 監査の実施1 監査対象事項元教諭に対する退職手当の支給及び令和6年12月19日以降の期末勤勉手当を含む給与の支給
2 監査の対象としない事項(略。内容としては、1年以上前の給与の返還は監査対象ではないというもの。詳細はリンク先で確認ください。)
3 監査対象機関大阪府教育庁(以下「教育庁」という。)
4 請求人の陳述法第242条第7項の規定により、令和8年1月15日に請求人に対して証拠の提出及び陳述の機会(以下「請求人陳述」という。)を設けたところ、別紙2のとおり陳述があった。また、請求人から別紙3のとおり陳述書が提出された。
5 実地監査令和8年1月7日、監査委員事務局職員が教育庁に対し監査を実施し、元教諭に関する通報から退職に至るまでの経緯、元教諭に対する退職手当、令和6年12月19日以降の期末勤勉手当を含む給与の支給の状況等について、本件請求に係る証拠書類等の確認を行うとともに、聴取を行った。その後も、随時、確認を行った。
第4 監査の結果1 事実関係本件監査請求に関して行った前記第3の5の実地監査、請求人が提出した事実証明書、前記第3の4の請求人陳述の内容などから、監査を実施した限りにおいて認められる事実は、次のとおりである。
(1) 元教諭の経歴ア 府教委採用前の経歴元教諭は、平成24年4月から平成26年3月まで、本件高校において、常勤講師として勤務していた。
なお、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成26年法律第51号)附則第15条による改正前の地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第58条第1項の規定により、大阪市の設置する学校に勤務する県費負担教職員の任免、給与の決定、休職及び懲戒に関する事務は、市教委が行うこととされていた。
また、本件高校は、令和4年3月31日に大阪市において廃止され、同年4月に大阪府に移管され、現在は大阪府立の高等学校となっている。イ 府教委採用以後の経歴元教諭は、平成26年4月に府教委に採用され、同月から平成30年3月まで大阪府立門真西高等学校において、同年4月からは、大阪府立牧野高等学校(以下「現任校」という。)において、いずれも教諭として勤務していた。
元教諭は、依願退職を府教委に申し出、府教委はこれを承認し、令和7年11月28日付けで府教委を退職した(以下、府教委が元教諭の依願退職を承認したことを「本件退職承認処分」という。)。(2) 元生徒について元生徒は、***年度から***年度まで本件高校の生徒であり、***年3月に本件高校を卒業し、ほぼ同時期に成人(当時20歳)となった。
(3) 法令の定めア 懲戒処分について(ア) 地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「地公法」という。)第29条は、職員が同条第1項各号の非違行為を行った場合に、当該職員に対し、懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる旨定めている。(イ) 大阪府では、職員の懲戒に関する条例(昭和26年大阪府条例第42号。以下「懲戒条例」という。)において、非違行為を行った職員に対する標準的な懲戒処分の種類を別表で定めている。
懲戒条例は、別表27の項において、「児童又は生徒にわいせつな行為をすること。」、別表67の項において、「暴行若しくは脅迫を用い、又は心神喪失若しくは抗拒不能に乗じてわいせつな行為をすること。」について、標準的な懲戒処分の種類を、いずれも免職と定めている。イ 退職手当の支給について職員の退職手当に関する条例(昭和40年大阪府条例第4号)は、第2条において、同条例の規定による退職手当は、職員が退職した場合にその者に支給する旨を定め、第12条第1項において、退職をした者が、懲戒免職等処分を受けて退職をした者等に該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者に対し、当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任、当該退職をした者の勤務の状況、当該退職をした者が行った非違の内容及び程度、当該非違に至った経緯、当該非違後における当該退職をした者の言動、当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の程度並びに当該非違が公務に対する信頼に及ぼす影響を勘案して、当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる旨を定めている。
(4) 教職員の非違行為に係る通報への対応教育庁では、教職員の非違行為に係る通報があった場合には、原則として、非違行為の疑いの内容に応じて、担当課が窓口となり、事実確認等の調査を当該教職員の所属の校長に指示し、報告を求め、当該教職員に対する処分等の検討が必要な場合は、教育庁教職員室教職員人事課と情報を共有し、対応することとしている。
(5) 元教諭に係る通報についてア 令和2年ごろの通報について請求人は、本件請求書及び前記第3の4の請求人陳述において、平成31年(令和元年)から遅くとも令和2年のゴールデンウィーク頃までに、本件高校在籍当時から元教諭より受けていたわいせつ行為に関する事実関係とともに、元教諭を懲戒免職にすることを求める旨を記載した手書きの文書を、児童生徒へのセクハラアンケート調査の窓口に送付した旨を述べた。
教育庁は、前記第3の5の実地監査では、平成31年(令和元年)当時、かかる通報があったこと自体確認できていない旨を回答していたが、請求人陳述で送付時期及び送付先が特定されたことを受けて再度の確認を行った結果、令和2年8月に、教育庁所管のセクハラアンケートの送付先に、***年から約*年間の間に元教諭から受けていたわいせつ行為の事実関係を告発するとともに、元教諭に教師を辞めさせて二度と教師の職に就かせないこと、退職金も払わないこと等を求める内容の手書きの告発文書(以下「令和2年告発文書」という。)が届いていたことが判明したとして、その旨、令和8年1月23日付けで監査委員に回答した。
なお、令和2年告発文書における元教諭から受けたわいせつ行為に関する記載内容は、後記(6)アの面談において元生徒が述べたわいせつ行為の内容と概ね符合するが、令和2年告発文書の記載の方が、より具体的で、詳細に記載されていた。また、令和2年告発文書には、「この手紙の送り主に危険が及ぶと思った場合は、見送っていただいてかまいません」「この手紙の存在は、(元教諭)に絶対に分からないように対処してください」との記載があった。この点、監査した限りにおいて、令和2年当時、教育庁において、元教諭のわいせつ行為に関する調査が行われた事実を確認するには至らなかった。
イ 令和7年の通報について(ア) 令和7年6月*日、「24時間電話教育相談」に、元生徒から元教諭の本件高校在籍当時からのわいせつ行為に係る架電があった。(イ) 令和7年6月*日、情報提供を受けた教育庁から元生徒に架電し、元教諭から元生徒がされたことは「グルーミング」に当たると主治医や相談している人に言われたなど、前記(ア)の相談概要について確認した。(6) 元教諭のわいせつ行為に係る教育庁の調査についてア 元生徒との面談令和7年8月*日、教育庁は、元生徒と面談を行った。なお、前記(4)のとおり、教育庁では、教職員の非違行為に係る通報があった場合には、事実確認等の調査を当該教職員の所属の校長に指示し、報告を求めることを原則としているが、元教諭のわいせつ行為は府教委に採用される前から継続していた事案のため、教育庁で対応した。
この面談において、元生徒は、元教諭が本件高校に着任した平成24年*月以降、胸や尻を触ったり、口腔性交するなどのわいせつ行為をしていたこと、元教諭が府教委採用後も同様のわいせつ行為をしたり、府立高校のテストの採点を元生徒に手伝わせていたこと、今となっては元教諭の行為は「グルーミング」だと思っていること、平成31年(令和元年)頃にも元教諭の実名を挙げて告発をしていたことなどを述べた。
イ 本件高校における状況確認令和7年9月*日、教育庁は、本件高校において、元生徒の在籍の確認等の状況確認を実施した。
ウ 元教諭からの事情聴取令和7年11月6日、教育庁は、元教諭に対し、事情聴取を実施した。
元教諭は、元生徒に対するわいせつ行為について、前記アの元生徒の主張を概ね認めた。(7) 府教委において確認した元教諭のわいせつ行為等について前記(6)の調査の結果、府教委は、元教諭が元生徒に対して行った行為について、次のとおり認定した。
ア 平成24年4月から平成26年3月まで元教諭は、本件高校に在籍していた平成24年4月から平成26年3月までの間に、元生徒に対して、複数回にわたり、胸や尻を触る、口腔性交させる等のわいせつ行為を行った(以下、これらの行為を「本件第1行為」という。)。
イ 平成26年4月から平成27年7月まで元教諭は、府教委採用後の平成26年4月から平成27年7月までの間に、元生徒(本件高校を卒業。成人)に対し、前記アと同様のわいせつ行為(以下、これらの行為を「本件第2行為」という。)を継続して行っていた。なお、本件第2行為が、暴行若しくは脅迫を用い、又は心神喪失若しくは抗拒不能に乗じて行われたとする事実は確認できなかった。
また、元教諭が府教委職員であった期間(平成26年4月から令和7年11月28日まで)、他の女子生徒に対してわいせつ行為等を行った事実は確認されなかった。(8) 元教諭の府教委退職についてア 元教諭の府教委退職の経緯(ア) 令和7年11月10日から、現任校校長は、元教諭に、自宅待機を命じた。(イ) 令和7年11月13日、元教諭から、退職意向が示された。(ウ) 令和7年11月20日、教育庁は、現任校校長に、元教諭を「諭旨免職」とする旨、元教諭の退職願提出を認める旨、伝達した。(エ) 令和7年11月21日、元教諭は、退職願を提出した。(オ) 令和7年11月28日、府教委は、元教諭に同日付けの諭旨文書及び辞令を交付し、元教諭は府教委を退職した(諭旨免職)。イ 元教諭に対する「諭旨免職」について地公法に「諭旨免職」の定めはないが、府教委では、懲戒免職処分を行うことはできないが、懲戒免職相当の非違行為があること等を前提に、職員に辞職を勧告し、それに応じた場合、依願退職として処理する実務上の制度として運用している。諭旨免職となった職員の退職に当たり、当該職員には非違行為を諭す文書を交付している。また、依願退職であるため、当該職員には退職手当が支給されることになる。
府教委が元教諭を諭旨免職とした理由について前記第3の5の実地監査において確認したところ、次のとおりであった。(ア) 本件第1行為は、生徒に対するわいせつ行為であり、懲戒条例別表27の項に該当し、懲戒免職処分相当の非違行為であるものの、市教委の任用期間中に行ったものであるから、府教委において懲戒処分を行うことはできない。(イ) 本件第2行為については、府教委の任用期間中に行われたものであったが、当時、元生徒は、本件高校を卒業して成人(20歳)となっており、かつ、それらわいせつ行為が、暴行若しくは脅迫を用い、又は心神喪失若しくは抗拒不能に乗じて行われたとする事実が確認できなかったことから、懲戒条例別表67の項には該当せず、府教委の任用期間中に、懲戒処分の対象となる非違行為があったとは言えないから、元教諭に対して懲戒処分を行うことはできない。(ウ) 前記(ア)及び(イ)のとおり、府教委は、元教諭に対し懲戒処分はできないものの、懲戒免職に相当し得る極めて悪質な行為を行ったことが認められ、今後教育現場に立たせるべきではないことから、元教諭に辞職を勧告し、諭旨免職とした。(9) 元教諭の退職に関する元生徒への報告について令和7年12月*日、教育庁は、元生徒との面談を実施し、①本件第1行為については懲戒免職相当の非違行為であるものの、市教委の任用期間中に行ったものであるから、府教委において懲戒処分を行うことはできないと判断したこと、②元教諭に対し懲戒処分はできないものの、懲戒免職に相当し得る極めて悪質な行為を行ったことが認められることから諭旨免職としたこと、③元教諭の教員免許状を取り上げる予定であること、④諭旨免職であることから元教諭に退職手当は支払われる予定であること等を説明した。
(10) 元教諭の教員免許状取上げについて教育職員免許法(昭和24年法律第147号)第11条第3項は、「免許状を有する者(教育職員以外の者に限る。)が、法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるにふさわしくない非行があつて、その情状が重いと認められるときは、免許管理者は、その免許状を取り上げることができる。」と規定している。府教委では、本件第1行為は、同項の非行に該当すると判断し、令和8年1月9日に元教諭が有していた教員免許状(高等学校教諭一種免許状(地理歴史および公民))を取り上げ、同月30日、官報でその旨公告した。官報では、当該免許状取上げの理由について、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(令和3年法律第57号。以下「教職員性暴力防止法」という。)第2条第3項に規定する児童生徒性暴力等である旨(教育職員免許法施行規則第74条の2第8号イ)が記載されている。
(11) 元教諭に対する退職手当、給与の支出ア 退職手当前記第3の5の実地監査で確認したところ、元教諭には退職手当が支払われる予定であるが、実地監査を行った令和8年1月7日時点では手続中のため、まだ支払われていないとのことであった。
イ 令和6年12月19日以降に支給された給与元教諭は、令和7年11月28日の退職日まで通常の勤務を行っていたところ、令和6年12月19日以降に、次のとおり期末勤勉手当を含む給与が支給されており、その支給要件及び手続に不備は認められなかった。
(ア) 給料、通勤手当、扶養手当、特殊勤務手当等:令和7年1月分から同年11月分まで支給済。なお、退職後の同年12月分は、前月分の実績による特殊勤務手当の支給と退職により過徴収となった共済掛金の返還となっている。(イ) 期末勤勉手当:令和7年6月分および12月分支給済(ウ) 令和6年及び令和7年の給与改定に伴う差額の支給(エ) 通勤手当の戻入:すでに支払われていた令和8年3月分までの通勤手当のうち、退職後の期間(令和7年12月分から令和8年3月分まで)について、令和7年12月*日に返納済
2 判断(1) 財務会計行為自体の違法性又は不当性について前記1(11)のとおり、元教諭には、令和6年12月19日以降期末勤勉手当を含む給与、給与の差額が支給されているところ、その支給の手続等に不備はなかったことから、かかる期末勤勉手当を含む給与、給与の差額の支給自体に違法又は不当な点は見当たらない。
(2) 財務会計行為の前提となる原因行為の違法性又は不当性についてもっとも、請求人は、平成31年(令和元年)頃に、府教委に元教諭による元生徒に対するわいせつ行為について通報したにもかかわらず府教委は調査義務を怠り、令和7年に請求人の通報により府教委が調査を行った結果、元教諭は非違行為概要を認めたが、府教委は、府教委に採用される前の事案である等の不合理な理由で元教諭の懲戒免職を回避し、諭旨免職として処理したが、府教委には懲戒免職相当のものを諭旨免職とできる規定はなく、元教諭によるわいせつ行為は府教委に採用されてからも続いていたのであり前提を誤っているとして、本来であれば懲戒免職処分を受け不支給であるはずであった退職手当が不当に支払われ、平成31年(令和元年)の通報以降に支払われた期末勤勉手当を含む給与の支給も不当な支出である旨主張するので、以下、この点について検討する。
ア 原因行為の違法性又は不当性と公金支出の違法性又は不当性について法第242条第1項によれば、住民は、違法又は不当な公金の支出があると認めるときに、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を是正し、又は被った損害を補填するために必要な措置を講じることを請求することができるが、最高裁判所第一小法廷昭和60年9月12日判決の趣旨に照らすと、公金の支出が違法又は不当となるのは、単にそれ自体が違法又は不当な場合だけではなく、その財務会計行為の前提となる行為が公金の支出の直接の原因をなす場合にあっては、その原因となる行為が違法又は不当である場合の公金の支出も違法又は不当となる。
イ 本件退職承認処分の適法性について元教諭に退職手当が支給され、退職日までの給与が支給されるのは、元教諭に対して懲戒免職処分を行わずに、本件退職承認処分を行ったことによるものであるから、給与の支給という財務会計上の行為の原因行為として、府教委が、元教諭に対して懲戒免職処分を行わずに本件退職承認処分を行ったことが、任命権者の裁量権を逸脱・濫用するものとして違法又は不当であるかについて検討する。
(ア) 任命権者の裁量権について職員の義務違反に対して懲戒処分をするかどうか、及び懲戒処分をする場合にいずれの処分を行うかは、任命権者が裁量によって決定すべきものであり(最高裁判所第三小法廷昭和52年12月20日判決参照)、府教委は、元教諭のした非違行為の態様及び結果、動機、故意若しくは過失の別又は悪質性の程度、元教諭の職責、当該違反行為の前後の元教諭の態度、他の職員又は社会に与える影響その他懲戒処分の検討に当たり必要な事項を考慮し、懲戒処分をするか否か及びいずれの懲戒処分を選択するかを決定するものとされている(懲戒条例第2条第3項)。
また、分限処分は、公務の能率の維持及びその適正な運営の確保という目的から、一定の事由がある場合に、職員の意に反する不利益な身分上の変動をもたらす処分として行われるものであるところ、いかなる分限処分を行うかは、その内容と程度に応じて任命権者が裁量によって決定すべきものである(最高裁判所第二小法廷昭和48年9月14日判決参照)。
(イ) 懲戒処分の要否に関する府教委の認定・判断について府教委は、前記1(5)イ及び(6)のとおり調査を行い、平成24年4月から平成26年3月までの本件高校在籍期間中における元生徒へのわいせつ行為として、本件第1行為を認定し、平成26年4月以降の府教委の任用期間中における元生徒へのわいせつ行為として、本件第2行為を認定したことが認められる。
府教委は、このうち、本件第1行為については、前記1(8)イ(ア)のとおり、懲戒条例別表27の項に該当し、懲戒免職処分相当の非違行為であるものの、市教委の任用期間中に行ったものであるから、府教委において懲戒処分を行うことはできないと判断した。また、本件第2行為については、前記1(8)イ(イ)のとおり、元生徒が本件高校を卒業して成人に達していたところ、「暴行若しくは脅迫を用い、又は心神喪失若しくは抗拒不能に乗じて行われた」事実が確認できず、懲戒条例別表67の項に該当しないことから懲戒事由に該当しないと判断した。
以上により、府教委としては、元教諭に対して懲戒処分をすることができないと判断する一方、元教諭が懲戒免職に相当し得る極めて悪質な行為を行ったと認め、今後教育現場に立たせるべきではないことから、懲戒処分でも分限処分でもないが、元教諭に辞職を勧告し、諭旨免職とする形で、本件退職承認処分を行ったことが認められる。
なお、前記1(5)アのとおり、教育庁が、令和8年1月23日になって、令和2年告発文書の存在について回答した経過によれば、府教委は、本件第1行為及び本件第2行為に係る事実認定及び懲戒事由該当性の判断に当たって、令和2年告発文書を考慮しないで行ったものと認められる。
(ウ) 本件退職承認処分の妥当性a 本件第1行為については、懲戒条例上、標準的な懲戒処分の種類が免職とされる生徒に対するわいせつ行為ではあるものの、府教委との勤務関係が存在しない市教委の任用期間中に行われた非違行為に対しては府教委の懲戒権が及ばないから、府教委が懲戒処分の対象としなかったことが不合理とはいえない。
なお、前記第3の4の請求人の陳述書には、本件第1行為を行った元教諭に対して懲戒免職処分をせずに依願退職を認めることは、平成19年頃に女子生徒に対してわいせつ行為を行った府立学校の教員が、令和7年に懲戒免職処分となった事例に比して、均衡を失している旨が記載されているが(別紙3参照)、当該事例は、府立学校在職時に生徒に対するわいせつ行為を行った教員に対して懲戒免職処分を行った事例であるから、本件とは事例を異にするものと言わざるを得ない。b 本件第2行為について、教育庁は、前記(イ)のとおり懲戒事由に該当しないと判断した。
確かに、平成26年4月の元教諭の府教委採用時点において、元生徒は、生徒ではなく、かつ、成人に達していたことが認められることから(前記1(2)の認定事実)、懲戒条例別表27の項の生徒に対するわいせつ行為には該当しない。
また、府教委は、「暴行若しくは脅迫を用い、又は心神喪失若しくは抗拒不能に乗じて行われた」とは認められず、懲戒条例別表67の項に該当しないと判断した。なお、府教委は、元教諭について、諭旨免職とするとともに、教員免許状の取上げを行い、元教諭を教育現場から去らせるという点においては懲戒免職と同様の効果を発現させる対応を行っている。
一方、請求人は、前記第3の4の請求人陳述において、当時、恋愛だと思い込んでいたが、今ではグルーミング行為であったと考えている旨を述べている。
この点、府教委は、令和2年告発文書を考慮しないまま、上記の認定判断を行っている。令和2年告発文書は、その内容が具体的かつ詳細であり、本件第2行為の終了時から比較的時間が経過していない時点で作成されていることから、相応の信用性があるというべきであるところ、これが一切考慮されることなく、本件第2行為に関する懲戒処分の要否に係る認定判断がなされたことは、いささか妥当性を欠くものと言わざるを得ないが、監査した限りにおいて、府教委の前記認定判断が誤っていると認めるに足りる事実を認定するには至らなかった。
そうすると、府教委が、本件第2行為に及んだ元教諭に対して、懲戒処分を行うことなく、本件退職承認処分を行ったことが、直ちに任命権者の裁量権の逸脱・濫用に該当すると認めることはできない。以上のとおり、監査を実施した限りにおいて、本件退職承認処分が違法又は不当であると言えない以上、これにより退職をした元教諭に対して、所定の退職手当を支給することや、令和6年12月19日から当該退職の日までの給与を支給することが違法又は不当であるとは言えないから、本件請求は棄却せざるを得ない。
(3) 結論以上のとおり、監査を実施した限りにおいて、本件退職承認処分が違法又は不当であると認めることはできず、元教諭に退職手当及び期末勤勉手当を含む給与を支給することが違法又は不当ということはできないことから、本件監査請求を棄却する。
3 意見なお、事案に鑑み、以下のとおり監査委員の意見を述べる。
(1) 前記2(3)の結論は、本件退職承認処分について、その判断過程において、令和2年告発文書を考慮に入れていないことは適切でないと考えるものの、同文書に記載されている事実について監査委員自身が認定を行うこと、とりわけ、時間的制約等がある中で利害関係人に事情聴取を行い、必要な証拠を収集することが難しいことから、処分が違法であると認めるには足らないことを理由としている。(2) 近時、児童生徒等の尊厳を保持するため、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する施策を推進し、もって児童生徒等の権利利益の擁護に資することを目的とする教職員性暴力防止法が施行されており、同法に関連して「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」(令和4年3月18日文部科学大臣決定令和5年7月13日改訂)が定められているところ、同指針では、冒頭において次のように述べられている。
「本来、児童生徒等を守り育てる立場にある教育職員等が、児童生徒等に対し「魂の殺人」とも呼ばれる性暴力等を行い、当該児童生徒等の尊厳と権利を著しく侵害し、生涯にわたって回復しがたい心理的外傷や心身に対する重大な影響を与えるなどということは、断じてあってはならず、言語道断である。しかしながら、児童生徒性暴力等に当たる行為により懲戒処分等を受ける教育職員等は後を絶たず、なかには、教師という権威と信頼を悪用し、被害児童生徒等が自身の被害に気付かないよう性暴力に至ったケースなど、人として到底許されない事件も見受けられ、事態は極めて深刻な状況にある。加えて、こうした一部の教育職員等による加害行為により、児童生徒等と日々真摯に向き合い、児童生徒等が心身ともに健やかに成長していくことを真に願う、大多数の教育職員等の社会的な尊厳が毀損されることはあってはならない。」(3) 令和2年告発文書、請求人が提出した事実証明書及び前記第3の4の請求人陳述の内容には、元教諭が本件高校在籍当時に、未成年であった元生徒が*******のために精神的に不安定な状態であったことに乗じて同人に近づき、同人を心理的に支配して同人の尊厳を傷つける数々の破廉恥行為を行い、元教諭が府教委に採用された後も、当該行為を継続して行っていたことが明らかにされている。かかる状況が事実であると認定されれば、請求人が主張する性的グルーミング(一般的には、性的目的をもって、被害者との信頼関係や依存関係を形成・利用し、心理的に支配した上で、性的行為又はこれに準ずる行為へ誘導する一連の行為をいう。)の状態ないし関係性が元教諭の本件高校在籍時から府教委採用後まで継続していたとみることができ、元教諭の府教委採用時には、元生徒は既に生徒ではなく成人になっていたという事情を考慮してもなお、元教諭の行為が地公法及び懲戒条例の懲戒事由に該当するとみる余地が十分にあったと考える。(4) 本件では確かに、元教諭を諭旨免職(本件退職承認処分)とした上で、元教諭の教員免許状の取上げを行い、教育現場から直ちに排除しており、懲戒処分や分限処分ではないものの、府教委として本件事案に対する一定の合理的な対応はなされているといえる。しかしながら、少なくとも、本件退職承認処分決定時において、令和2年告発文書は考慮に入れられていなかったことが明らかであり、元教諭が前記(3)の元生徒との関係を秘匿して、府立高校の教壇に立っていたことをも併せ考慮すれば、元教諭に対して何らかの懲戒処分をすることを選択しないで、本件退職承認処分を行ったことは、府教委に認められる裁量権の範囲を逸脱・濫用しているおそれがある。(5) したがって、府教委は、教員の児童生徒等への性的加害行為に対して厳しい対応が求められていることを念頭に置き、元教諭に対して本件退職承認処分をしたことが大阪府の信用を著しく損なうおそれがあることをも考慮して、あらためて同処分に至った判断過程を検証し、必要な対応をとるべきであると考える。
★大阪府教育委員会による隠蔽行為が監査によって認定されました★
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隠蔽する連中も加害者と同じ穴の狢! 揃って地獄に落ちろ!
| 【お願い】 当ページは、近藤一馬 師の違法行為および大阪府教育委員会の隠蔽体質を告発するものであり、現在の牧野高校の生徒たちには一切の非はありません。 したがって、牧野高校およびその生徒たちに対する謂れ無き中傷や、揶揄する行為は当センターとしても看過できるものではありませんので、お辞めください。 当センターは、近藤一馬 師および大阪府教育委員会を絶対に許しません。 |